ICL(眼内コンタクトレンズ)は、眼内に特殊なレンズを挿入することで近視、遠視、乱視を矯正する屈折矯正手術です。眼内に柔軟で生体適合性の高いレンズを虹彩と水晶体の間に挿入します。必要に応じてレンズを摘出できる可逆的な手術です。日本では2010年に厚生労働省から高度管理医療機器としての承認を受け、現在では世界中で300万眼以上の実績があります。
ICL(眼内コンタクトレンズ)の適応年齢

ICL(眼内コンタクトレンズ)手術の適応年齢は、複数の医療機関やガイドラインに基づいて以下のように設定されています。
下限年齢:
- 日本眼科学会の屈折矯正手術ガイドラインでは、原則として21歳以上が適応とされています。これは、21歳未満の若年層では眼軸(眼の奥行き)が成長段階にあり、近視が進行する可能性が否定できないためです。術後に近視が進行すると、挿入したレンズの度数が合わなくなり、視力低下やレンズ交換の可能性があります。
- 近視が進行中の場合は手術が適応外となることが一般的です。
上限年齢:
- 原則として45歳までとされています。理由として、40代後半から老眼や白内障などの加齢性眼疾患を十分に考慮する必要があるためです。老眼が進行すると、ICL(眼内コンタクトレンズ)で遠方の視力を矯正しても近くを見る際に老眼鏡が必要になる可能性があり、患者の満足度が低下する場合があります。但しコンタクトレンズでも同様に遠方視力を重視した場合、コンタクトレンズの上から老眼鏡が必要となる可能性があります。
- 老眼年齢世代の方がICL(眼内コンタクトレンズ)を希望される場合には術後の矯正度数設定やメリット・デメリットについてよく医師と相談し、しっかり理解した上で手術を検討することをお勧めします。
- 近年、老眼対応の多焦点IPCL(Implantable Phakic Contact Lens)が登場し、老眼矯正の選択肢が増えています。
適応条件の補足:
- 年齢以外にも、角膜内皮細胞密度、前房深度(角膜と水晶体の距離)、近視の度数などが適応条件として重要です。また、糖尿病や白内障などの全身疾患や眼疾患がある場合、手術が不適応となる可能性があります。
早く受けるメリット

ICL(眼内コンタクトレンズ)を20代~30代のうちに受けるメリットは、視力矯正による生活の質(QOL)の向上を長期間享受できる点に集約されます。以下に具体的なメリットを挙げます。
メガネやコンタクトレンズからの解放:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)手術により、裸眼で良好な視力を得られるため、メガネやコンタクトレンズの装用に伴う煩わしさから解放されます。朝起きてすぐにクリアな視界が得られる、コンタクトレンズのケアが不要になる、といった点は多くの方にとって大きな利点です。
- 特に、コンタクトレンズを長期間使用することで生じるドライアイやアレルギー性結膜炎のリスクを回避できます。コンタクトレンズの不適切な使用は角膜内皮細胞の減少や感染症の原因となるため、早期にICL(眼内コンタクトレンズ)を選択することで眼の健康を保ちやすくなります。
- 旅行や出張などコンタクトレンズのケア用品が不要となるメリットも多く挙げられています。
災害時や緊急時の安全性:
- 日本は地震などの自然災害が多い国です。災害時にメガネやコンタクトレンズが手元にない場合、移動や避難の妨げになります。ICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受けた場合、裸眼で生活できるため、災害時や緊急時に迅速に行動することが可能となるメリットもあります。
長期間のランニングコスト削減:
- コンタクトレンズやメガネの維持には継続的な費用がかかります。例えば、1日使い捨てソフトコンタクトレンズの場合、年間約6~10万円、2週間交換型では約4~6万円の費用が発生します。ICL(眼内コンタクトレンズ)手術の初期費用は両眼で40~80万円程度(費用は乱視の有無やクリニックにより異なります)ですが、約9~16年でコンタクトレンズのコストを上回る可能性があります。
- 例として、30歳でICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受けた場合、60歳までの30年間でコンタクトレンズの総費用は180~300万円に達します。一方、ICL(眼内コンタクトレンズ)は初期費用と術後の定期検診(年間数千円程度)のみで済むため、長期的に見れば経済的です。
視力の安定性と見え方の質:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)は、コントラスト感度の低下や夜間のハロー・グレア(光の滲みや眩しさ)が少ないと報告されています。また、近視の戻りがほぼなく、長期的な視力の安定性が期待できます。2015年の研究では、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術後の5年間で視力1.0以上を維持した患者が多数報告されており、長期的な有効性が示されています。
- 若いうちに手術を受けることで、視力の安定した期間を最大限に活用でき、仕事やスポーツ、レジャーなどでクリアな視界を享受できます。
- ICL(眼内コンタクトレンズ)は近視の戻りはありませんが生活環境や体質の変化により非常に稀ではありますが視力が低下することもあります(近視などの進行予防はできません)。
老眼発症前の最適なタイミング:
- 老眼は一般的に40代後半から自覚され始めます。20~30代でICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受ければ、老眼発症前に裸眼生活を長期間楽しめます。老眼が進行した後に手術を受けると、遠方視力は改善しても近くを見る際に老眼鏡が必要になる可能性があります。
心理的・社会的メリット:
- メガネやコンタクトレンズによる外見の制約や不便さから解放されることで、自信の向上や社会活動の積極化が期待できます。特に、強度近視で厚いメガネレンズが気になる人や、コンタクトレンズの装用が難しい人にとって、ICL(眼内コンタクトレンズ)は生活の自由度を高めます。
早く受けるデメリット
一方で、20代~30代のうちにICL(眼内コンタクトレンズ)手術を受けることには以下のようなデメリットやリスクが存在します。
手術リスク:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)は安全性が高い手術ですが、内眼手術であるためゼロリスクではありません。低確率(0.1%未満)で眼内炎やレンズの位置ずれ、ハロー・グレア、白内障、緑内障などの合併症が報告されています。
高額な初期費用:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)手術は自由診療であり、健康保険が適用されません。両眼で40~80万円程度の費用がかかり、クリニックによっては検査費用やアフターケア代が別途必要です。20代の若年層では、この初期費用を捻出することが経済的負担となる場合があります。
- 医療費控除の対象にはなりますが、確定申告の手続きが必要であり、還付額は所得に応じて異なります。
老眼への影響:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)は老眼を矯正できないため、40代後半以降に老眼が発症すると、近くを見る際に老眼鏡で対応する必要があります。
レンズの長期使用に関する不確実性:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)で使用するレンズは40~50年の耐久性があるとされていますが、超長期(50年以上)のデータはまだ不足しています。若いうちに手術を受けた場合、70~80歳以降の眼の状態やレンズの安定性については未知の部分があります。加齢による白内障が進行して手術が必要となった際にはレンズ摘出が必要となります。
適応検査の制約:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)手術の適応検査では、ハードコンタクトレンズ使用者は2週間、ソフトコンタクトレンズ使用者は3日間(乱視用ソフトは7日間)装用を中止する必要があります。若年層ではコンタクトレンズに依存している人が多いですがこの期間は眼鏡で生活していただく必要があります。
ランニングコストの比較

ICL(眼内コンタクトレンズ)手術のランニングコストを、メガネやコンタクトレンズと比較して以下にまとめます。
ICL(眼内コンタクトレンズ)のコスト:
- 初期費用:両眼で40~80万円。
- ※自由診療の為、クリニックにより異なります。
- 術後費用:定期検診(年間1~2回、1回数千円程度)が推奨されます。レンズはメンテナンス不要で、通常は交換の必要がありません。
- 総コスト(30年):初期費用80万円+検診30年分(仮に年間5000円×30=15万円)で約95万円(初期費用40万円の場合は55万円)。
コンタクトレンズのコスト:
- 1日使い捨て:年間6~10万円(片眼3000円/月×12ヶ月×2眼)。30年で180~300万円かかります。
- 2週間交換型:年間4~6万円。30年で120~180万円かかります。
- ケア用品:洗浄液や保存液で年間1~2万円追加でかかります。
- コンタクトレンズは継続的な出費が必要で、ICL(眼内コンタクトレンズ)の初期費用を約9~16年で上回ります。
メガネのコスト:
- レンズ交換やフレーム更新を2~3年ごとに行う場合、1回3~5万円。30年で45~75万円かかります。
- メガネはコンタクトレンズより安価ですが、災害時やスポーツ時の不便さがデメリットです。
- コロナ禍は最近終息しつつありますが花粉症の時期などマスク装用によりメガネが曇るなどのデメリットもあります。
結論:
- ICL(眼内コンタクトレンズ)は初期費用が高いが、20代で手術を受けた場合、30代後半以降でコンタクトレンズの累計コストを下回ります。長期間裸眼生活を続けることで、経済的かつQOLの向上が期待できます。
エビデンスに基づく評価
ICL(眼内コンタクトレンズ)の安全性と有効性に関するエビデンスは、以下のような研究や臨床データで裏付けられています。
長期的な視力安定性:
- 2015年の研究(Lee et al.)では、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術後の5年間で視力1.0以上を維持した患者が多数報告され、近視の戻りがほぼないことが確認されています。また、Alfonso et al.(2015)も同様の結果を示し、ICL(眼内コンタクトレンズ)の長期安定性を支持しています。
合併症のリスク:
- 眼内炎の発生率は0.01~0.1%程度と低く、適切な術前検査と術後管理で予防可能です。ハロー・グレアはHole ICL(眼内コンタクトレンズ)の導入で軽減されており、最新のEVO+ Visian ICLではさらに改善されています
老眼対応の進歩:
- 多焦点IPCLは老眼矯正に有効ですが、コントラスト感度の低下やハロー・グレアのリスクがICL(眼内コンタクトレンズ)より高いと報告されています。ICL(眼内コンタクトレンズ)は老眼には未対応の為、若年層での手術が推奨される理由の一つです。
総合的な考察
ICL(眼内コンタクトレンズ)手術を20代〜30代のうちに受けることは、裸眼生活の長期的な享受、災害時の安全性、ランニングコストの削減、視力の安定性といった多くのメリットがあります。特に、コンタクトレンズの継続的な費用や眼の健康リスクを考慮すると、20~30代での手術は経済的・健康的な観点から合理的です。
一方で、高額な初期費用や手術リスク、老眼発症後の老眼鏡使用の必要性(コンタクトレンズでも同様に遠方視力を重視した場合、コンタクトレンズの上から老眼鏡使用が必要となります)。適応検査やクリニック選び、術後の管理を徹底することで、リスクを最小限に抑えられます。
推奨事項:
手術を検討する際は、インストラクターの資格を持つ医師や、豊富な症例実績のあるクリニックを選ぶ。(ICL認定資格とIPCL認定資格は異なります)。
- 術前カウンセリングで、老眼や合併症のリスク、手術によるメリット、デメリットを十分理解・納得して手術を検討する。
- コンタクトレンズの装用中止期間を守る。
- 術後の定期検診をしっかり受診することによりリスクを最小限に抑える事が可能。
結論
ICL(眼内コンタクトレンズ)手術の適応年齢は原則21歳~で、20~30代が最も推奨されるタイミングです。若いうちに受けるメリットは、裸眼視力向上によりコンタクトレンズや眼鏡からの解放によるQOLの向上、災害時の安全性、ランニングコストの削減、視力の安定性にあり、長期的な視点で経済的・健康的な利点が大きいです。デメリットとしては手術リスクや初期費用、老眼への影響が挙げられますが、適切なクリニック選びと情報収集でリスクは軽減可能です。エビデンスに基づく安全性と有効性の高さから、視力矯正を希望する若年層にとってICL(眼内コンタクトレンズ)は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
品川近視クリニックは、ICL(眼内コンタクトレンズ)治療を開始してから14年、全国5院(東京/梅田/名古屋/福岡/札幌)に展開している、視力回復治療専門のクリニックです。
患者様お一人お一人に最も適した治療を、適正価格で患者様にご提供できるよう日々努力をしています。ICL(眼内コンタクトレンズ)に限らずレーシックや老眼治療、白内障治療(多焦点眼内レンズ挿入術)などの視力回復治療をお考えの方は、品川近視クリニックにお気軽にお問い合わください。
更新日:2025年11月13日
監修者 東京院 院長 湯川 聡
(日本眼科学会専門医)
| 経歴 | |
|---|---|
| 1999年 | 帝京大学医学部卒 |
| 2001年 | 東京女子医大病院 眼科 |
| 2003年 | 埼玉済生会栗橋病院 出向 |
| 2005年 | 埼玉済生会川口病院 出向 |
| 2007年 | 品川近視クリニック |